ラーメン雑感 3〜6
ラーメン作りは、感性だ
。
感性のないヤツは、諦めた方がいい。
私の下に弟子入りした男たちの、独立までに要する時間だが、数ヶ月で出来る者と、数年かけても独立出来ない者
がいる。
この違いは、感性である。他人が、数年かけて会得するものを、数週間で、自分のものに出来る「感性」もあるだろ
う。
ただ、優れた感性があっても、他人と協調することの出来ない者は、はじき出されてしまうから、感性だけでも不可能
な場合もあるわけだが・・・。
天性の味覚というのは、確かにあるもので・・・
それを持っている青年に出会うと、羨望の念を持ってしまうが、一方で、味覚は、鍛えることで掴み取ることが出来る
と信じている。
私自身、そうした意味では、化学調味料漬けの生活の中で育ち、情けない舌に生まれついてしまったが、この仕事
に携わってから、少しずつではあるが、鍛えられた。
素材の持ち味を活かす味付けの食習慣、無理をしてでも、たまには安酒ばかりではなく吟醸酒を飲み、本物の味と
の出逢いを大切にするよう心がけることで、かなり味がわかるようにはなって来た。
食材への思い入れが出来ないのか!
君たちは、毎日、こんなに素晴らしい素材たちと出会っているんだ・・・、ということを、常に感じていて欲しい。
あまり、一般に流通している食材を使わず、仕入れの手間と管理に苦労しながらも、生産者との顔の見える関係を重
んじた仕入れをしている真意を知って欲しい。
休みの日を利用して、出来る限り、素材の生産現場に赴くようにしている。
無農薬・無化学肥料でガンバっています・・・、という売り文句だけでは、どうもピンと来ない。やはり、現場で、直接生
産者と会い、彼らの生活の中での息遣い、額の汗と接することで、彼らのモノづくりへの想いを、直に知ることが出来
る。そして、それを知った上では、もはや、ハンパな気持ちでは、食材と向き合うことなど出来ない。
毎日包丁を入れる肉、野菜、それに調味料。すべてが、生産者たちのメッセージであり、我々は、そのメッセージを最
大限に活かした調理をしなければならない。強引に味を組み立てようとする必要はない。それぞれの素材自身が主
張するメッセージを、美味しさを、そのまま引き出してあげればいいんだ。
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