ラーメン雑感 1〜3
弟子たちに・・
私の下に、ラーメン屋を目指し入門してくる若者たちがいる。しかし、私自身のラーメン作りへの想いを、彼らに伝えき
れていないもどかしさを、常に感じている。
自分自身の在り方が、そのまま、ラーメン作りの道であるという形で、自身には厳しくあり続けることで、ラーメン作り
を追求して来た。
私の下から独立して行った男たちに、私が何を伝えられたか、自分自身に問うた時、技術として伝授すべきものはあ
る程度伝えられたとしても、私自身が、最も伝えたいと思っていた、ラーメンの作り手としての在り方のようなラーメン
「道」の根幹を伝授することは、決して、十分に出来ているとは言えない。
伝えられなかった無念さを晴らすべく、全ての弟子たちに、真に私が伝えたかったものを、ここに書き記すものであ
る。彼らのラーメン屋としての成功を祈りつつ・・・。
店は、君自身だ。
少しでも良いものを提供しようという想いを失ったと時は、ラーメン屋としては、すでに終わっている。常に、より良いも
のを目指す姿勢を失ってはならない。
「仕込がたいへんだから・・・」「店内のオペレーションが難しくなるから・・・」といって、少しでも楽をしようとしてはいけ
ない。そんな君には、店を持つ資格はない。
店の雰囲気にしても、味にしても、店のすべては、君自身の反映である。店は、自分自身である。己の姿が、鏡のよ
うに映し出されるのである。
このことから、言える事がある。「こんな私でもラーメン屋が出来るでしょうか?」と、よく聞かれるが、十人十色、その
人なりの、素敵なラーメン屋のあり方がある。どのような形であれ、店主の、その人なりの存在感が、自然に、店に
反映されているような店は、お客様をひきつけて止まない。
厨房内では無駄口はたたくな!
お客様に、真剣にラーメンを提供したいという想いがあるなら、厨房内では、しゃべるべきではない。必要最低限の用
事以外は、メモ伝えでもいい。
店では、お客様が一番。くだらない話を、お客様に、無理やり聞かせてはならない。そんな暴力行為で、お客様の大
切な時間を邪魔してはいけない。
静かな緊張感のある店内に、麺の湯切りの音だけが響く中で、美味しいラーメンを食する喜びは最高である。もちろ
ん、常連のお客様との、語らいの時間も、素敵な時間であり、大切にしたい。
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